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ポーラテック社とモルデンミルズとフリースの誕生 フリースの起源はモルデンミルズ&パタゴニアのコラボ

POLARTEC社とMALDEN MILLS社とPOLARフリース

フリースは現在広く普及し誰でも安価に手に入れることが出来ます。ソフトで暖かく速乾性があり着心地も良い人気のフリース。もともとはアウトドアウェアメーカーと繊維メーカが山着用に開発したものだと知っていましたか?

化繊毛布に使われる起毛ポリエステルに目を付けたパタゴニアはモルデンミルズと共に、ウールに替わる山着を開発しました。

 

フリースの誕生

1981年、ポーラテック社(Polartech LLC)の前身のモルデンミルズ社(Malden Mills)とパタゴニア(Patagonia)が共同開発して作った起毛ポリエステル、シンチラ(=シンセティックチンチラ)こそがフリースの原型。

当時はウール、グースなど天然素材が当たり前だった山着に革命をもらたすことになりました。

化繊を起毛してロフト(嵩)を作る事で保温性、軽量化、耐久性、速乾性、ソフトな着心地

を手に入れこれまで独壇場だったウールに迫る性能を手にしました。速乾、耐久性、価格面ではウールに勝ります。

モルデンミルズ社長アーロン氏はこの画期的な素材の特許を敢えて放棄し人々が安くフリースを手に入れられるように配慮しました。

モルデンミルズとポーラテック

実はモルデンミルズ社は倒産し2007年にバーサキャピタルが設備と資産を買い取り現在のポーラテック社となりました、倒産の原因は不景気の煽りと、大規模工場火災からの復帰に多額の負債を抱えた為です。結果的に倒産しましたがポーラテックフリースは現存しています。アーロン社長の人道的な経営力が少なからずポーラテックフリースの復活に影響しています。

ビジネスでは他人を犠牲にして自分の利益を上げられる者がのし上がっていきます。しかし中には正しい事を行い、周りから必要とされていく企業もあります。

私は経営学科を卒業し、卒論はCSR(Corporate Social Responsibirity)企業の社会的責任が社員を含むステークホルダーを幸せにし、巡り巡って会社の利益に繋がる事を題材に書きました。

その中に何人かのレジェンド経営者を登場させるのですが、稲森和夫、出光佐三、の名に連なり、モルデンミルズのアーロン社長も紹介されます。

発祥の地 Lawrence

モルデンミルズが所在したローレンスという土地はアメリカ合衆国マサッチューセッツ州の貧困層が多い地域です。他の繊維メーカーは中国や東南アジア、メキシコなど労働力が安い国に生産施設を作り低コスト化するのが定石でしたが、モルデンミルズはあくまで地元民も雇用にこだわりました。時給換算すると15ドルと当時この業界では異例ともいえる高給に加え住居取得のサポートも行いました。ローレンスは労働人口の9割が失業中か生活保護を受けている市域でありモルデンミルズはまさに救世主でした。そんな中不幸がモルデンミルズ社を襲うのです。

火災

ある晩大規模火災が起き、工場のメイン設備が全焼しました。明朝に集まってきた従業員は今後の生活を考え目に涙を浮かべていました。

しかしアーロン社長は従業員を見捨てませんでした。必ずローレンスに工場を再建し再び全従業員を雇用することを約束しました。君たちは我が社の大切な、そして有能な社員だ。君たちが必要だと。更に3か月間は全社員に全額給与を支払い、火事の2日後にはクリスマスボーナスまで支給しました。決して無視できる金額ではなく総額で15億ドルが従業員に対して支払われたのです。

やろうと思えばローレンスでなく人件費が安い国に工場を新設できたはずです。または火災の保険金を受け取って会社をたたみ悠々自適な生活だってできたはずです。しかし彼は地元の雇用を守る選択をしました。  

大反響

社長の対応は従業員の心に火を着けました。従業員たちは実に献身的にそして精力的に働き再建不可能と思われていたモルデンミルズがみるみる立ち直り始めました。

ニュースを見た人々はモルデンミルズ社長の人道的な行動に心を打たれました。火災から1週間で約一万通の手紙がモルデンミルズに届きました。激励や誓約文が主で「これからフリースはモルデンミルズ製以外買わないことを誓います」という内容です。

更にLLbeansを始めとするアウトドアウェアメーカー数社はモルデンミルズ以外のフリース素材は購入しないと公表するまでに至りました。

各メディアは優先的にそして友好的にモルデンミルズをトップニュースに取り上げ特集をし、その経済効果は40億ドルとも言われています。

アーロン社長の正しい行いは称えられホワイトハウスに招かれクリントン大統領と茶会するまで至りました。

モルデンミルズはそこらのエセ地域密着型企業とは違い、真の人道精神を持った企業です。

ついこの間までハドソン川を汚染して発症した人たちへの賠償問題で揉めていたにもかかわらず、一度エコフレンドリーが金になると認知した途端に手のひら返して 「我々は環境社会を真剣に考える企業だ」と叫び始める大企業が残念ながら存在する中こういう会社こそ大切にしたいですね。

ポーラテックフリース

そんなモルデンミルズの遺伝子を脈々と受け継いだポーラテックフリース。実は自社でレイヤリングを完結できる数少ないメーカーなのです。レイヤリングとは山着の基本でベースレイヤー(肌着)、ミッドレイヤー(中間着)、アウターレイヤー(上着)からなる”重ね着”のことで、天候や温度変化が激しい山では定石とされています。ベースレイヤーが体表の汗をコントロールし、ミッドレイヤーが保温、アウターレイヤーが雨風を防ぐのが各々のコンセプトです。詳しくは下記をご参照ください。

www.takeabreakoutdoor.com

ベースレイヤー

今のところポーラテックで生粋のベースレイヤーはデルタのみです。他のパワードライなどのフリースは秋冬はベースレイヤーとして着用出来ますが夏場はとても暑くて行動できません。しかしベースにもミッドにもなる汎用性には価値があります。

www.takeabreakoutdoor.com

デルタ

デルタは暑い日用のベースレイヤーです。疎水性の繊維と親水性の繊維のクロスハッチ構造で湿気をスマートにコントロールして過度な気化冷却とオーバヒートを防ぎます。また混紡されたテンセルと生地表面の凹凸が面でなく点で肌と接触するためベタつきを抑え快適な着心地を提供します。天然由来のテンセルを混紡しており化繊にはない滑らかさを実現しています。

  • 冷涼感
  • 吸湿性
  • 通気性
  • 肌にベタ付きにくい
  • 乾燥を促す
  • 防臭性 

秋冬用ベースレイヤー兼ミッドレイヤー

パワードライ

名の如く速乾性に優れています。生地の表地と裏地に別々の性質を持つポリエステルを採用した2層構造によりかつて無い吸湿性能と速乾性能を両立しました。

  • 吸湿性
  • 速乾性
  • 通気性
  • 軽量
  • 手入れが容易

パワーグリッド

 

パワードライのほぼ上位互換。特許のグリッド構造により通気性と吸湿速乾性に加え保温性すら向上させ、更に軽量化に成功しました。グリッドの凹凸が肌との接触を平面で無くポイントにしたためベタつきを抑え着心地も向上しました。

  • 吸湿性
  • 速乾性
  • 保温性
  • 通気性
  • 軽量
  • 手入れが容易

パワーストレッチ

その名の如くとても伸縮します。体にピッタリフィットでもこのかつてない伸縮性のおかげで運動時も全く突っ張りません。むしろ過度な稼働をソフトに抑制するためケガ予防にもなるようです。この柔らかく包み込まれるようにストレッチする感触は快感となり手放せなくなる着心地です。もちろん耐久性も通気性も抜群です。

  • 弾力性のあるストレッチ性能
  • 吸湿性
  • 通気性
  • 手入れが容易

パワーウール

フリースとメリノウールのと夢のコラボ。表地に化繊、裏地にメリノウールを使用した二層構造がかつてない高機能性を実現します。メリノウールの特性の天然の防臭効果、調温調湿性能、着心地の良さを引き継ぎ、化繊の耐久性能、速乾性能を見事にプラスしました。

  • 吸湿性
  • 速乾性
  • 通気性
  • 天然の防臭性
  • 耐久性

ミッドレイヤー

ポーラテックミッドレイヤーは従来のウールやダウンに替わる素材を提供します。空気の層で断熱し保温します。通気性、速乾性をプラスできるのは化繊ならではのメリットです。

サーマルプロ

より幅広い用途に対応するため開発された独特の断熱構造を持つフリースです。生地内に内包された無数の熱気ポケットは通気性を損なうことなく暖気を維持できるため通気性と保温性を両立します。またこの空気ポケットは軽量化にも貢献し、更に圧力を加えると収縮するため携帯性にも優れています。

  • 暖かく軽い
  • 通気性
  • 速乾性
  • 耐久性
  • 手入れが容易

ハイロフト

字の如く長いロフトが特徴です。大きな空気ポケットはダウンのように空気の層を作り外気を断熱します。※防風のアウターが必要となります。ダウンには負けますがグラム当たりの暖かさはフリースの中でも群を抜いています。空気ポケットが体積の大部分を占める為ハイロフトはサーマルプロ以上にコンパクトになり携帯に便利です。

  • 暖かく軽い
  • 通気性
  • パッカブル
  • 速乾性
  • 手入れが容易

アルファ

 

アルファは化繊ダウンです。表地と裏地の間に化繊中綿が織り込まれています。

中綿を織り込んでいる為、グースダウンのように素材が抜ける心配がありません。従って通気性の良い表地と組み合わせる事ができる為従来のダウンと比べて抜群の通気性を発揮します。また化繊中綿に疎水性がある為濡れてもダウンのように著しく保温力が落ちることもありません。行動できるダウン、それがアルファです。グラム当たりの保温性能はグースダウンに軍配が上がります。

  • 通気性
  • 暖かく軽い
  • パッカブル
  • 速乾性
  • 手入れが簡単

アウターレイヤー

アウターは山の変わりやすい気候からあなたを守る鎧です。ポーラテックアウターレイヤーは着心地の良さを付加価値として提供します。

パワーシールド

パワーシールドはいわゆるソフトシェルジャケットです。通気性と着心地は抜群ですが防水性はなく撥水となります。繊維を密に編み込むことで保温性、耐侯性、通気性のバランスを強化しました。長時間の豪雨には耐えられませんが、多少の雨風、雪にはびくともしません。山用ですとどうしても完全防水のハードシェルを一枚もっていきたいところですが、デイハイクやキャンプ、街着には十分すぎる性能ではないでしょうか。

  • 耐侯性
  • 通気性
  • 程よいストレッチ
  • 耐久性
  • 手入れが楽

ネオシェル

ネオシェルはハードシェルです。ソフトシェルよりのハードシェルです。耐水圧を犠牲にしている分、他のハードシェルよりも群を抜いて通気性が高いです。耐水圧とは1cm四方に何mmまでの水圧に耐えられるかの値です。ネオシェルの耐水圧は10,000mm。他の防水透湿素材は20,000から50,000mmなので比較的低いですが、10,000は完全防水といえる数値です。

実はどんな豪雨でも耐水圧は1,500mm程度、雨傘の耐水圧は300mm程度です。しかし傘は張ってる分水を弾き易いですが、ウェアは着用するのでシワがあったり背負ったザックの接点が浸みやすかったりと何かと高い数値が必要だと言われています。

ハードシェルの欠点ともいえるゴワツキを感じさせない着心地の良さがネオシェルにはあります。透湿性も群を抜いており完全無欠といっても過言でない素材です。

  • 防水性
  • 通気性
  • 程よいストレッチ
  • 耐久性
  • 手入れが容易